この記事はこんな方のための記事です。
- 「アヌビアス」をきれいに育てたい
- 活着させる方法や、株分けの仕方をくわしく知りたい。
- 適切な水温が知りたい
「アヌビアス・ナナ」や「アヌビアスナナ・プチ」は、枯れにくく育てやすいため初心者からベテランまで幅広く人気があります。
しかし、いくら育てやすいからといって間違った飼育の仕方をしてしまえば、溶けてしまったり、弱ってしまうこともあります。
水草水槽歴13年になる私も、買ったはいいけれどどうまく育てられず、コケだらけになってしまったことがありました。
生長も遅いからコケがつきやすいんですよね。
現在では、主に流木や石に活着させてレイアウトを楽しんでいます。


そこでこの記事では、初心者の方に向けて、キレイに育てる方法や、活着の仕方、株分けの方法などをお伝えします。
これを読めば、「アヌビアス」がキレイな水槽を眺めることができます。
育てやすい他の陰性水草はこちらで紹介していますのでご覧ください。

「アヌビアスナナ・ナナプチ」の基本的な育て方

ここではまず、「アヌビアスナナ」や「プチ」の基本的な育て方についてお伝えします。
初めて育てる方も多いと思いますので、ご覧ください。
「アヌビアス・ナナ」「プチ」の育て方
「アヌビアス・ナナ」や「ナナプチ」は、
ソイルや砂に植えるのではなく、流木や石にくっつけて育てる「活着(かっちゃく)」という方法を使います。
これは、根っこが横に伸びるタイプの水草なので、埋めてしまうと枯れてしまうおそれがあるためです。
育てるときの光は、強すぎない中〜弱めの光がちょうどよく、照明は1日6〜8時間くらいを目安にしましょう。
点灯時間が長すぎるとコケがつきやすくなります。
CO2を添加しなくても育ちますし、肥料も少なめで大丈夫なので初心者の方でも安心です。
また、水温は23〜28℃くらいの間で管理すると安定して育ちます。
夏や冬はヒーターや冷却ファンを使って、
極端な温度にならないように注意しましょう。
葉が硬くて丈夫なので、コケがつきやすいこともありますが、定期的に様子を見ながら不要な葉をトリミングしてあげると、きれいな姿を保てます。
ちょっとしたポイントを押さえるだけで、長く元気に育ってくれる水草ですよ。
「ナナ」と「プチ」の違いと選び方
「アヌビアス」にはいくつかの種類がありますが、なかでもよく使われるのが「ナナ」と「ナナプチ」です。
「ナナ」は、一般的なサイズの「アヌビアス」で、葉の大きさは4~6センチほどです。
適度な存在感があるので、レイアウトの中景草にぴったりです。

一方「ナナプチ」はその名の通り、さらに小さな葉が特徴で、2~3センチくらいの可愛らしい葉をつけます。
小型水槽や前景にも使いやすいです。
どちらも基本的な育て方は変わりませんが、水槽のサイズやレイアウトしたい位置によって、どちらを選ぶかが変わってきます。
個人的には「プチ」を流木にちょこんと活着させると、自然感があってとてもお気に入りです。
どんなレイアウトに向いている?
「アヌビアス・ナナ」は、活着系の水草なので、底床に植えるのではなく、石や流木にくっつけて使います。
これによって、水槽のどこにでも配置できるのが大きなメリットです。
レイアウトの面では、直射的な光が当たる場所よりも、流木の陰や水草の影など、少し光がやわらかくなるような場所に向いています。

明るすぎるとコケがつきやすくなることもあるので、少しくらい場所がちょうどいいのです。
流木に活着させて後景に立てかけるように配置したり、石に活着させて前景や中景のアクセントにしたりと、使い方は自由自在です。
複数の「アヌビアス」を高さ違いで配置するだけで、水槽全体に奥行きや立体感を出すこともできます。
ちなみに、水草のレイアウトはこちらがとても参考になりますので、ぜひ手に取ってみてください!
「アヌビアス」の活着方法|流木や石への固定のコツ

「アヌビアス」の特徴をお伝えしてきましたが「実際にどうやって活着させるの?」
と疑問に思う方もいらっしゃると思います。
ここでは、実際に「アヌビアスナナ(プチ)」を買ってきてから、活着させるまでの具体的な手順について解説していきます。
活着に向いている素材は?
「アヌビアス」を活着させる定番なのは
「流木」と「石」です。
「流木」は軽くて扱いやすく、複雑な形状も多いので、レイアウトに立体感が出しやすいのが特徴です。
置くだけで結構カッコいいので、初心者の方は流木レイアウトがおすすめです!
流木の場合は、木の先よりは幹の太い部分につけることが多いです。
一方で、石に活着させる場合は小さめの石に巻き付けていくことになります。
始めから流木について売っているものもあるので、こちらを購入するのもアリです。
また、石につけるのは「好きなところに配置し直すことができる」のがメリットです。
水槽のデザインや設置場所によって変わりますが、どちらでも難易度は変わりませんので、好みに合わせて使い分けるとよいでしょう。
活着方法①:糸やビニタイで巻き付ける方法
「アヌビアス」を活着さる方法として、よく使われるのが「専用の糸」や「ビニタイ」で巻き付ける方法です。
※こちらは「ナナ」ではないのですが、手順はほぼ同じなのでご紹介します。

まず、買ってきたはウールなどに包まれているので、根を切らないように外していきます。


根の部分は切ってしまって問題ありません。
今すでに出ている根が活着することはあまりないからです。

活着させたい石や流木などに、どのようにくっつけるかを考えていきます。
このとき、根の付け根(根茎)がぴったり接するように置くのがポイントです。
太い根元部分をビニタイや糸などで巻いていけば完成です。

グルグルと数回巻くだけでOKですが、
あまり強く締めつけすぎないように気をつけてください。
数週間経てば、根が自然に流木や石に絡みつくようになります。
活着したら
糸やビニタイは切ってほどいてしまっても構いません。
目立たなければ、そのままにしておいても特に問題はありません。
「水草専用の糸」であれば、切らなくても自然に溶けるので、こちらも一緒に購入することをおすすめします。
活着方法②:水草用接着剤の使い方

もう1つの方法として「接着剤を使用する」こともあります。
私はいつも接着剤を使って活着させています。
水に強く、瞬間的に固定できるのが最大の魅力ですね。
やり方は、まず流木や石の表面に水分を軽くふき取り、「アヌビアス」の根茎部分に少量だけ接着剤をつけます。

根の部分は、始めに切ってしまうことが多いので、茎の部分だけに接着剤をつけるのがよいでしょう。
ちなみに私はこちらの水草用接着剤を使用しています。

くっつくまでは少し時間がかかりますが、
水草用のモノであれば水にぬれていてもしっかりとくっつくので簡単です。
接着剤を使いすぎると、白く固まって見た目が悪くなってしまうこともあるので、本当に少量だけつけるのがおすすめです。
活着時の注意点(根茎を埋めない/腐らせない)
「アヌビアス」を活着させるうえで、もっとも大切なのが「根茎(こんけい)」の扱い方です。
根茎というのは、根っこが横に這うようについている太い部分のことです。
ここをソイル(土)や砂の中に埋めてしまうと、通気性が悪くなって腐ってしまうことがあります。
必ず、水の中に露出した状態で、石や流木に接するように固定しましょう。上からソイルをかぶせないように注意です。
普通の水草は植えるものがほとんどですが、アヌビアスは違います。
また、植え付けたばかりのときは、どうしてもいじりたくなってしまいますが、少しの間はそっと見守っていてあげましょう。
何度も動かすと、傷んでしまうことがあります。
アヌビアスを活着後にきれいに育てる管理方法

活着したあとも、きれいなアヌビアスを育てたいですよね。
ここでは、キレイに育てるための方法をお伝えします。
トリミングや古い葉の処理
「アヌビアス」は成長がゆっくりな水草ですが、時間がたつと古い葉が黄色くなったり、コケがついて見た目が悪くなってしまうこともあります。
そんなときは、思いきって古い葉をトリミングすることも大切です。
葉が1枚や2枚減っても、元気な根や根茎が残っていれば、また新しい葉が出てきますので安心してください。
切ってしまうのは少し心配ですが、古い葉は切ったほうがいいです。
トリミングには、水草用のハサミを使うと作業しやすくなります。
水草の美しさを保つためにも、ときどき様子を見て、不要な葉を間引くことがポイントです。
ヤマトヌマエビを入れてコケをとる

「アヌビアス」は葉の表面が硬くて広いため、コケがつきやすい水草でもあります。
特に茶ゴケや黒ヒゲゴケがつきやすく、一度ついてしまうと取り除くのがなかなか大変です。
その時に役に立つのが
「ヤマトヌマエビ」です。
ヤマトヌマエビはコケを食べてくれるエビの仲間で、一匹100円程度で手に入ります。
このエビは自分でコケを探して食べてくれるので、人の手では取り切れないコケまできれいにしてくれます。
私も以前水槽がコケだらけになってしまったことがあります。

そこでヤマトヌマエビを10匹入れて、2日経つと・・・

このように、ヤマトヌマエビはコケ取りにものすごい力を発揮しますので、少しだけだけでも入れておくことをおすすめします。
一般的に、下記の数くらい入れておくと、
キレイな水槽を保つことができます。
30㎝水槽 | 3~6匹程度 |
45㎝水槽 | 7~10匹程度 |
60㎝水槽 | 10~20匹程度 |
90㎝水槽 | 20~40匹程度 |
さらにコケがひどい場合には、
これの倍くらい入れることもあります。
ただ、コケがなくなってしまうと死んでしまうこともあるので
入れすぎには注意です。
光量・肥料のバランス
「アヌビアス」は陰性水草といって、あまり強い光や多くの栄養を必要としないタイプの水草です。
生長が遅い分、光量も肥料も多すぎないほうがいいんですよね。
さすがに部屋の明かりだけでは育たないことが多いので、安いものでも水槽用ライトは購入しました。
こちらの記事で、安くて水草が育つものをおすすめしていますので、ぜひご覧ください。

基本的には、液体肥料などもほぼ必要ありません。
熱帯魚のフンなどから出るリンや窒素などで育ちます。
病気・枯れへの早めの対処
「アヌビアス」が枯れたり、病気になることはあまり多くありませんが、環境が悪化すると症状が出ることがあります。
たとえば、
- 葉が黄色くなって透けてくる
- 葉のフチから黒ずんでいく
- 根茎がブヨブヨと柔らかくなる
こうしたことが見られた場合、
水温やpH、水の汚れ、光量の強さなどをチェックしてみましょう。
特に、根茎が埋まっていたり、暗すぎたり、急激な水質の変化があると、「アヌビアス」は弱ってしまうことがあります。
早めに原因を見つけて対応すれば、元気を取り戻してくれることも多いです。
Co2はできれば添加したほうがよい
陰性水草は、Co2(二酸化炭素)がなくても育つものが多いです。
もちろん「アヌビアスナナ」の仲間もCo2を添加しなくても育ちます。
しかし、「アヌビアス」も植物の仲間で光合成はしますので、Co2があったほうがより健康に早く生長します。
水草を育てる上ではかなりメリットがありますので、初心者の方にもおすすめです。
初心者におすすめのCo2添加の方法はこちらで紹介しています。
キレイな水草水槽ができますので、ぜひご覧ください。

「アヌビアス」に適した水温とトラブルへの対策

丈夫な「アヌビアス」ですが、それでも枯れてしまったり、溶けてしまったりすることもあります。
私も、以前は黄色くなってしまったり、葉がボロボロになってしまったりして焦ったことが何度もあります。
ここでは、「アヌビアス」に適した水温やトラブル対策についてお伝えします。
理想の水温は何度?(23~26℃がベスト)
「アヌビアス・ナナ」を健康に育てるためには、水温の管理がとても大切です。
一般的に「アヌビアス」にとっての理想的な水温は23〜26℃くらいと言われています。
このくらいの温度なら、葉が溶けることもなく、ゆっくりとですが安定して成長していきます。
夏場など、これより水温が高くなってしまうと、調子を崩して溶けてしまうこともあります。
逆に10℃以下の低水温になると、成長が止まったり、徐々に枯れてしまうこともあります。
水温を保つためには?(クーラー・ヒーター)

では「アヌビアス」に適した水温にするためにはどうすればよいのでしょうか。
夏場には、冷却ファンや水槽用クーラーが効果的です。
特に30cm以上の水槽では、ファンだけでは足りないこともあるので、水量に応じて選ぶとよいでしょう。
冬場は、オートヒーターを使うのがおすすめです。
設定温度で自動的に調整してくれるので、
こまめに温度を確認する必要がありません。
また、水槽の設置場所も意外と大事なポイントです。
直射日光が当たる場所や、エアコンの風が直接当たる場所などは、水温が不安定になりやすいので避けるようにしましょう。
一度しっかりと環境を整えてしまえば、「アヌビアス」は手間が少なく安定して育ちます。
はじめの温度対策がとても大切です。


水温と水質の関係(pH・硬度)

少し難しいですが、水草には育てやすい「水質」があります。
「アヌビアス」は、弱酸性〜中性(pH6.5〜7.0くらい)の環境を好みます。
pHが高くなりすぎる(アルカリ性に近づく)と、葉が黒ずんだり調子を崩すことがあります。
また、水の硬度(GH)が極端に高すぎたりしても、葉がうまく育たないことがあります。
「そんな難しいことわからないよ」
という方も多いと思いますので、対策をお伝えします。
一番簡単なのは
「ソイルを使用すること」です。
ソイルは水槽に入れておくだけで弱酸性の軟水に水質を調整してくれます。
もちろん、砂利などでも「アヌビアス」は育ちますが、初心者の方はソイルを入れておけば育てやすくなります。
ちなみに、ソイルは栄養の少ない吸着系をおすすめします。


「アヌビアス」の増やし方|株分けのタイミングと手順

水草は生長すると増えてきて、他の場所に移したりさらに密度を増やしたりすることができます。
一般的な水草は、切った水草をソイルに植える「トリミング」を行いますが、「アヌビアス」は「株分け」と呼ばれる方法を使って増やしていきます。
活着後に増やすには?株分けが基本
「アヌビアス・ナナ」は、活着させたあともゆっくりと生長していきます。
葉が増えるだけでなく、根茎も横に伸びていくので、時間が経つとけっこうボリュームが出てきます。
ある程度生長してきたときに行えるのが「株分け」です。
流木や石に活着させたままでもできますし、一度外して作業しても大丈夫ですが
この株分けを行うことで、水槽全体のバランスも整いやすくなります。
株分けの時期・見分け方

株分けに向いているのは、「アヌビアス」がしっかり活着し、根茎がある程度長く伸びてきたタイミングです。
目安としては、葉が5~6枚以上ついていて、根茎も4~5センチ以上伸びているようなら
株分けしやすい状態になっています。
逆に、まだ葉が数枚しかない小さな状態では、無理に切ってしまうと成長が止まったり、活着しにくくなることがあります。
春〜初夏にかけては、気温や水温も安定していて水草全体が育ちやすい時期なので、株分けにも向いています。
ただし、季節を問わず環境が安定していればいつでも行うことが可能です。
株分けのやり方と必要な道具
株分けに使う道具は、カッターやハサミなどの刃物だけでOKです。
やり方はとても簡単で、根茎の途中をスパッと切るだけです。


枝分かれしている部分(葉っぱが4~5枚ついているところを切ります。)



今回はいい石がなかったのですが、本当はもう少し大きめの石にくっつけてあげるといいです。

あとは、もとの水草と接着した水草を好きなところに戻してあげるだけです。
こうして少しずつ増やしていけるのも楽しみのひとつです。
株分けしたあとの活着・トリミング方法
株分けしたばかりの「アヌビアス」は、少し元気がなくなることがあります。
それでも「アヌビアス」は丈夫なので
少しずつ芽を出して葉を増やしてくれます。
また、古い葉や傷んだ葉がある場合は、
思い切ってカットしてしまっても大丈夫です。
全体のバランスを見ながら整えていくことで、新しい根が出てきやすくなり、より早く活着が進みます。
数週間たつと、切り分けた株も徐々に元気になり、また新しい葉を展開してくれます。
まとめ

ここまでをまとめます。
- 「アヌビアスナナ」は流木や石に活着させる
- 糸やビニタイ・水草用接着剤で活着させるのがよい
- Co2はなくてもいいが、あったほうが育ちやすい
- 夏や冬の水温変化には注意(特に夏には溶けやすい)
- 増やすには株分けをしていく
アヌビアスは初心者の方でも育てやすい水草です。
さらに色が濃くてキレイな葉をつけるので、どのレイアウトでも重宝します。
今回お伝えした育て方を参考にしていただき、ぜひきれいな水槽を作ってください。
また、水草や熱帯魚をきれいに育てるためにはライトの影響がかなり多いです、こちらでおすすめのライトを紹介していますので、ご覧ください。



