この記事はこんな方のための記事です。
・底面フィルターを購入しようか迷っている。
・底面フィルターの仕組みがくわしく知りたい。
・どんな水槽に向いているか知りたい。
コスパがよくろ過能力も高めのフィルターとして知られているのが「底面フィルター」です。
しかし、その仕組みや使い方がわからず手を出しにくいという方もいるのではないでしょうか。
熱帯魚水槽歴13年になる私は、今まで主な種類のフィルターは使ってきました。
私が使ったことがあるフィルターは次の通りです。
- 使用したフィルターの種類
- ・外部フィルター
・上部フィルター
・底面フィルター
・外掛けフィルター
・投げ込み式フィルター
・内部フィルター
使ってみるとメリット・デメリットがよくわかりました。
その中でも、底面フィルターのメリットはとてもわかりやすいです。
「安い割にろ過能力が高い」ことです。
うまく使えば、水槽をきれいに保つことができますので、初心者から上級者まで扱いやすいフィルターです。
そこでこの記事では、底面フィルターの仕組みやメリット、デメリットについてお伝えします。
これを読めば、ご自分の水槽に導入するべきかがわかりますよ。
底面フィルターのろ過の仕組み

底面フィルターは、水槽の底に設置して使うタイプのフィルターです。
一見するとただのプレートのようで「これでろ過できるの?」と思いますが、実はけっこう優れものです。
一度設置してしまえば、メンテナンスはほぼしない(できない)ため、初心者にも扱いやすいです。
さらに、底面フィルターの仕組みを理解することで、ろ過能力を高めることができますので、お伝えします。
底面フィルターの仕組み

底面フィルターは水槽の底に敷くスノコ状のプレートです。
通常はその上に砂利やソイル(水槽用の土)などを敷きます。

この砂利の部分がゴミをとり、水をキレイにしてくれます。
水槽に入っている砂利の全てが「ろ材」になってくれるので、高いろ過能力があるのです。
底面フィルターの水の流れ
水は底砂を通ってプレートの下に集まり、パイプを通じて水面近くに流れます。
そのため、水槽内の水流は基本的に上から下方向に向かっていきます。
そのため、砂利などが目詰まりしてしまうと、吸い込みも悪くなってしまうというデメリットもあります。
水流の作り方:エアリフト式とモーター式の違い
底面フィルターは、大きく分けると2種類に分けられます。
「エアリフト式」と「水中モーター式」です。
この2つの何が違うかというと、水流の作り方です。
水流の強さや、必要なものも変わりますので、違いをくわしくお伝えします。
エアーポンプを使うエアリフト式とは

エアリフト式は、エアーポンプで空気を送り込み、その泡と一緒に水を引き上げる方式です。
エアリフト式の特徴は次のとおりです。
エアリフト式の特徴
・エアーポンプを購入する必要がある
・酸素をたくさん水槽内に取り込める
・水流は比較的穏やか
・ブクブクという音がする
エアーポンプ(ブクブク)を使うので、水槽内にたくさんの酸素が自然に入ります。
酸素は魚やエビ、バクテリアにとっても大切なのでこれはメリットと言えます。
また、水流は穏やかなので強い水流を嫌うエビなどには合っています。
ただ、水槽外にあるエアーポンプの音や、気泡の「ボコボコ」という音が気になることもあります。
静かな部屋で使う場合は、結構気になるかもしれません。
水中モーター式とは

水中モーター式は、電動ポンプの力で水流を起こす方法です。
特徴は次のとおりです。
水中モーター式の特徴
・水流は強め
・その分ろ過能力も高い
・モーターが水中にあるため音は静か
・エアレーション効果はない
エアリフト式に比べて水流が強いのが特徴です。
大型の水槽や水深がある場合でもしっかり循環させることができます。
さらに、モーターは水中にあるため、音は響きにくいです。
リビングや寝室に設置する場合、エアリフト式よりも快適に使えるでしょう。
デメリットとしては、水流が強いため水流が嫌いな魚にはストレスになる場合があります。
また、エアレーション効果があまりないため、必要に応じてエアーポンプを追加しなくてはいけません。
買っている魚の数や、水面の揺れ方によって変わります。
底面フィルターの「物理ろ過」と「生物ろ過」

底面フィルターは水をきれいにろ過してくれますが、実は2種類のろ過があります。
「物理ろ過」と「生物ろ過」です。
底面フィルターはこの両方を兼ね備えており、見た目以上に高性能なフィルターであることが分かります。
物理ろ過:底砂でゴミをこし取る
砂利やソイルを通過するとき、水中のゴミが自然にこし取られます。
目の細かいろ材のように、物理的に汚れをキャッチする役割です。
コーヒーのフィルターをイメージしてもらうとわかりやすいです。
このろ過で、餌の食べ残しやフンが砂の中に沈み、水中のゴミが水中に浮いていることはなくなります。
ただ、目に見えるゴミをとっても水はキレイになったといえません。
そこで生物ろ過で水をきれいにします。
生物ろ過:バクテリアが汚れを分解

目に見えない、水の汚れや臭いなどをなくしてくれるのが「生物ろ過」です。
水の中にはバクテリアがいて、これが汚れを分解してくれます。
バクテリアは、砂利にくっついていたり、水中にいたりします。
バクテリアの数が多いほど、水は無臭で透き通っていきます。
砂利が多い=バクテリアが住み着くところが多いということが底面フィルターのメリットなのです。
バクテリアを増やすために行うこと

フィルターの性能をアップさせるためには、バクテリアを増やすように心がけることが大切です。
バクテリアが増えるまでには数週間〜数ヶ月かかる
底面フィルターだけではないのですが、バクテリアはすぐには増えていきません。
水槽を立ち上げてから、バクテリアが増えて水がきれいになっていくまでには、数週間〜数ヶ月かかると思った方がいいです。
そのため、立ち上げ直後は茶色いコケや緑のコケが多く出てきます。
ここで焦ってしまうと、より悪化させてしますので気をつけてください。
バクテリアを増やすためにできること
バクテリアを増やすためには次のことに気をつけていきましょう。
バクテリアを増やすために
・エアレーションを行う
・水を換えすぎない
・カルキ抜きをしっかり行う
バクテリアは酸素が多いと数が増えていきます。
そのため、ブクブクなどを常時行い、酸素が水槽内にたくさんあるようにしましょう。
また、たくさん水替えしすぎてしまうと、バクテリアも一緒に捨ててしまうことになります。
1週間に1〜2回程度、水槽の⅓くらい水換えをするようにしましょう。
水道水に含まれるカルキ(塩素)でもバクテリアは死んでしまうので、カルキ抜きをしっかり入れるようにしましょう。
コスパのいいカルキ抜きはこちらで紹介していますのでご覧ください。

他のフィルターとどう違う?比較してわかる特徴

底面フィルターと他のフィルターを比較してみました。
他のフィルターと比べてみると、底面フィルターの特徴がわかるので、ここでは他の主なフィルターと比較してみました。
特徴 | メリット | デメリット | |
外部フィルター![]() | 本体を水槽の外に置き、ホースで接続する強力タイプ | ・ろ過能力が高い ・ろ材の自由度が高い ・静音性が高い | ・価格が高め ・設置スペースが必要 ・メンテナンスが面倒 |
上部フィルター![]() | 水槽上部に設置し、水をポンプで上に汲み上げてろ過するタイプ | ・酸素供給力が高い ・メンテナンスしやすい ・ろ材スペースが広い | ・見た目がややごつい ・水跳ねが起きることがある |
底面フィルター![]() | 底砂の下に設置し、砂利全体をろ材として使うタイプ | ・広いろ過面積 ・バクテリアの定着に有利 ・省スペース | ・ソイルとの相性が悪い場合あり ・掃除しにくい |
外掛けフィルター![]() | 水槽のフチに引っかけて使うタイプ | ・設置が簡単 ・安価 ・初心者向き | ・ろ材スペース小さい ・メンテナンス頻度が高め |
スポンジフィルター![]() | エアーポンプとつなげて使う、バクテリア繁殖に適したスポンジ型ろ過装置 | ・生物ろ過に優れる ・稚魚・エビに安全 ・安価 | ・見た目が目立つ ・能力不足になる場合あり |
投げ込み式フィルター![]() | エアーポンプの力で作動する、沈めるだけの簡易タイプ | ・価格が安い ・設置が簡単 ・小型水槽向き | ・ろ過能力は弱め ・見た目が気になる場合あり |
この表は、上から「ろ過能力が高い」と思えるフィルターから並べています。
その中で、底面フィルターは2~3番目くらいに能力が高いと考えます。
さらに、価格はかなり安いのが特徴なので他のフィルターと比べても優秀であることがよくわかります。
メンテナンスが難しいのが難点ですが、おすすめできるフィルターの1つです。
底面フィルターのろ過能力が高い理由
底面フィルターの魅力のひとつは、底床(底に敷いてある砂利など)全体がろ材として機能する点です。
他のフィルターに比べてろ材の面積が広く、効率よくバクテリアを繁殖させることができます。
水槽の隅々から水が底砂を通して流れることで、ろ過が偏ることなく水槽全体をきれいに保ちやすくなります。

底面フィルターのメリットとデメリット

底面フィルターのメリット
- 底床全体をろ材として使えるため、ろ過能力が高い
- 見た目がすっきりしていて水槽の中が広く使える
- 省エネ・低コストで運用できる
- 酸素を多く取り入れられる
底面フィルターは、底床がそのままろ材になるので、価格の割に高いろ過能力があります。
価格とろ過能力で考えるとかなりコスパのいいフィルターといえます。
底面フィルターのデメリット
- 掃除の手間がかかる(底砂内部にゴミがたまりやすい)
- 一度設置すると取り外しが難しい
- 底砂の種類によっては目詰まりが起きやすい
- 根が張る水草は向いていない
目詰まりしてしまった場合、リセットしないといけない場合があります。
また、根が張るタイプの水草の場合、詰まってしまうことがあります。
底面フィルターの場合は、根が張らない陰性の水草がおすすめです。

底面フィルターに向いている魚は?
底面フィルターは基本的にどのような魚でも飼うことができます。
ただ、相性がいい・悪いというのは少しありますのでお伝えします。
小型の魚やエビは向いている

底面フィルターは、穏やかな水流を好む魚や小型の魚、エビの飼育に向いています。
たとえば、ネオンテトラやグッピー、メダカ、ミナミヌマエビなどは、底面フィルターと相性がいいです。
小型の魚やエビは飼うことができますよ。
中型魚や大型魚はあまり向かない

中型魚や大型の魚の場合、高いろ過能力が必要になります。
また、食べ残しなどが砂底に入ってしまう底面フィルターはあまりおすすめできません。
中型・大型魚
・エンゼルフィッシュ
・ディスカス
・オスカー など
そのような魚を飼う場合には、外部フィルターや上部フィルターなどメンテナンスがしやすくろ過能力が高いフィルターをおすすめします。

まとめ:底面フィルターの仕組みを知って上手に使おう

底面フィルターは、構造がシンプルで扱いやすく、底床全体を使って効率よくろ過を行う優れたフィルターです。
エアリフト式・モーター式の違いを理解し、自分の水槽に合った方式を選ぶことが大切です。
うまく使いこなせば、長期的に安定した水質を保つことができるフィルターなので、ぜひ試してみてください。