この記事はこんな方のための記事です。
- ミナミヌマエビの稚エビの大きさや成長速度などが知りたい
- 稚エビの生存率を上げて大切に育てたい
- 稚エビのエサや飼育方法を知りたい
小さい見た目ながら、コケ取りの能力もあるミナミヌマエビは人気のエビです。
さらに、初心者が飼育しても繁殖しやすく、カワイイ稚エビが生まれる楽しさを味わうこともできます。
しかし、初めて飼育する方の中には「どれが稚エビ?」「稚エビが全然育たないんだけど・・・」と悩んでいる方も多いでしょう。
熱帯魚水槽13年以上になる私は今までミナミヌマエビ・ヤマトヌマエビを10年以上飼育してきました。(現在はヤマトのみ)
私は熱帯魚メイン+エビで混泳させています。

飼育する中で数々の失敗もありましたが、現在は稚エビの育て方なども分かってきました。
そこでこの記事では、初心者の方に向けてミナミヌマエビの稚エビの成長の仕方や、育て方、長生きさせる方法などを解説していきます。
この記事を読めば、ミナミヌマエビを増やして楽しく飼育することができるようになります。
逆に数が多くなりすぎてしまった場合は、こちらの記事をご覧ください。

ミナミヌマエビの稚エビってどんな大きさ・形?

ミナミヌマエビは、素人でも繁殖させやすいことで知られている淡水のエビです。
抱卵した親エビがいると、気づかないうちに稚エビが水槽内に現れることもよくあります。
しかし、稚エビはとても小さく、最初は「どこにいるの?」と探すのも一苦労です。
この記事では、そんな稚エビの大きさ・成長スピードや、見つけ方のコツをわかりやすくご紹介します。
稚エビの大きさと成長スピード

ミナミヌマエビの稚エビは、生まれた直後の大きさがわずか1.5~2mmほどです。
透明に近い体をしていて、ぱっと見ただけではゴミのように見えることもあります。
そのため、水槽の中で誕生しても気づかないことが多く「気がついたら増えていた」というのはよくある話です。
成長のスピードは環境によって多少異なりますが、目安としては以下のようになります。
- 生後(2mmほど):体が透明ですが、大人と同じ形をしています。
- 生後2週間(5mm前後):少しずつ体に透明感がなくなり、エビらしい姿に近づいてきます。
- 生後1か月(1cmほど):この頃になると、肉眼ではっきりと見えるようになり、親エビや小魚との混泳もある程度安全になります。
- 生後2〜3か月(1.5〜2cmほど):立派な成体サイズに成長し、早ければこの時期に繁殖できる個体も出てきます。
水温が高め(24〜26℃)でエサがしっかり行き渡っていれば、比較的早く成長します。
一方で、水温が低かったり、餌が不足していると成長がゆっくりになることも。
また、成長に個体差があるのも特徴で、同じタイミングで生まれた稚エビでも、1か月後には大きさにばらつきが出てきます。
焦らず、ゆっくり見守る気持ちで飼育してあげるとよいでしょう。
稚エビを見つけるコツと観察ポイント
稚エビは体が小さいうえに透明で、物陰に隠れる習性があるため、なかなか姿を見つけにくいです。
それでも、いくつかのコツを押さえると、稚エビの姿を見つけやすくなります。
✔ 観察する時間帯
朝方や水換え後など、水槽内が静かな時間に動き出すことが多いです。
照明をつけた直後よりも、少し落ち着いたタイミングのほうがよく動きます。
✔ 探す場所
稚エビは、以下のような場所によくいます。
- 水草のすき間(特にモス系)
- スポンジフィルターやエアチューブの陰
- 底床のすき間やガラス面
とくにウィローモスやマツモのような細かい葉の水草は、隠れ家にも餌場にもなるのでおすすめです。
エビは基本的に身を守るために隠れていることが多いです。
しかし、ある程度時間が経つと見えるところに出てきます。
出てくるまでには1週間以上かかることもありますので、気長に見守ってください。
稚エビはいつ生まれる?抱卵〜孵化(ふか)の流れ

ここでは、母親のミナミヌマエビが卵を宿してから、孵化するまでの流れについてお伝えします。
稚エビをしっかりと育てたい場合は、抱卵(お腹に卵がある状態)の時に、そのエビだけ隔離してあげるのも1つの手です。
抱卵から孵化までの期間

メスが抱卵してから孵化まではおよそ2~4週間といわれています。
- 水温が高め(25〜27℃)の環境では、2週間ほどで孵化
- 水温が低め(20〜22℃)の場合は、3〜4週間かかることも
孵化直前になると、卵の中で稚エビの目が黒い点として見えるようになります。
この時期はとても神秘的で、観察していると小さな命の育ちを感じることができます。
隔離するのであれば、このタイミングでサテライトなどに移してあげるとよいでしょう。
ミナミヌマエビのオスとメスの見分け方は?
繁殖しやすいと言っても、オスとメスがいないと稚エビが生まれることはありません。
オスとメスの特徴は次の通りです。
- オス:体が小さめ(2mm程度)で体がまっすぐ。
- メス:体が大きめ(3mm程度)でお腹がやや膨らんでいる。
メスは卵を産むためにオスよりも少し体が大きめになっています。
また、卵を育てるために少しお腹が膨らんで見えます。
オスとメスを分けて買うことはできるの?
「1ペア」のような形で、オスとメスをセットで購入することもできます。
ただ、その買い方をすることは少なく「10~20匹まとめて買えばオスもメスもいるでしょ」と考える方のほうが多いです。
初心者の方は、「まとめて買って、抱卵しているほうがメス」くらいの感覚で困らないと思います。
それでも十分に繁殖します。
稚エビを育てるための基本環境づくり

ミナミヌマエビの稚エビはとても小さくて繊細な生き物です。
水流があまり強くなく、他の魚に攻撃されないようにすることが大切です・
この章では、稚エビを守るためのフィルターの選び方・隠れ家となる水草につい紹介します。
稚エビにやさしいフィルターは?
稚エビはサイズが非常に小さく、フィルター吸い込み口に吸い込まれてしまう事故がよく起こります。
それを防ぐには、フィルターの種類選びが重要です。
おすすめのフィルター:スポンジフィルターと底面フィルター

スポンジフィルターは吸い込み口がスポンジで覆われており、稚エビが吸い込まれる心配がありません。
エビ愛好家の方には人気のフィルターですね!
さらに、スポンジの表面にはバクテリアが住みつくことで、ろ過能力も自然と高まります。
また、稚エビはこのスポンジ表面に付いたコケやエサの残りを食べたり、休憩したりすることも多いです。
ただ、他に多めに熱帯魚やメダカなどを飼っている方は、ろ過能力が足りなくなる場合があります。
また、底面フィルターも稚エビの育成にはおすすめです。
底面フィルターは水槽の底面にあり、砂利などに覆われています。

そのため、同様に稚エビが吸い込まれてしまう心配がありません。
稚エビを守りたいのであれば、スポンジフィルターか底面フィルターを選ぶとよいでしょう。
コスパのよい底面フィルターはこちらで紹介しています。

外掛け・外部フィルターを使いたい場合

スポンジフィルターがおすすめですが、水槽によっては外掛けフィルターや外部フィルターなどを使用したい場合もあります。
特に外部フィルターはろ過能力が高いですからね。
その場合には、目の細かいストレーナースポンジを使用し、稚エビが吸い込まれないようにしてください。
また、フィルターの中には水の流量を調整できるものもありますので、少し弱めにして飼育してみるのもよいでしょう。
このような対策をすれば、強力なフィルターでも稚エビの事故を防ぐことができます。
隠れ家や水草の役割

稚エビの生存率を上げるために、隠れ家を作ることはとても大切です。
なぜなら、稚エビは本能的に身を隠す性質があり、外敵(親エビや魚)から身を守るには、安心して隠れられる場所が必要だからです。
おすすめの隠れ家・水草
- ウィローモス:稚エビの聖域。餌場にもなります。
- マツモ、アナカリス:浮かべるだけで簡単に使え、メンテナンスもラク。
- 流木や石に活着させた水草:自然な見た目でインテリア性も◎
水草は餌・隠れ家・水質安定の3役をこなすため、稚エビを育てるならぜひ入れておきたいところです。
稚エビは「暗がり」や「すき間」を好むため、陰になる場所や障害物の影を意識してレイアウトすると、自然と集まってくることがありますよ。
マツモやアナカリス、ウィローモスなどは強いライトがなくても育てられるので、どの水槽にも向いています。
また「陰性水草」などもおすすめです。
くわしくはこちらでご覧ください。

稚エビのための隔離方法と注意点
稚エビを確実に育てたい場合は、隔離して単独飼育する方法も有効です。
よく使われる隔離方法
- 産卵箱(稚魚用隔離ケース):水槽内に浮かせて使える
- サテライト(外掛け隔離ボックス):水槽外に設置して、親水槽と水を循環

どちらも「網目が細かい」「水がしっかり循環する」タイプを選ぶのがポイントです。
小さすぎる稚エビは隔離ケースのスリットから抜け出してしまうこともあるため、隙間をチェックしましょう。
水質管理を怠ると、隔離ケース内の水が悪化しやすいため、親水槽と連結して水を循環させるタイプがおすすめです。
隔離期間は、1cm以上に育つまで(約1か月)を目安にすると安心です。
おすすめのサテライト

私が使用した中で、おすすめのサテライトは「SUDO(スドー) サテライトスリム M」です。
仕切り板の取り外しができ、エビだけではなくメダカや熱帯魚などの隔離にも使えるのでおすすめです。
グッピーの稚魚などを保護する時にも使えるので、意外と役に立ちます。
私は水槽のリセットをしている間に、ここでベタを飼っていました。
稚エビの餌は必要?食べるものと与え方

ミナミヌマエビの稚エビはとても小さくてか弱く見えますが、実は意外とたくましく、自分で餌を探して食べることができます。
ここでは「何を食べるの?」「人工飼料は必要?」「どれくらいの頻度であげるの?」といった疑問にお答えしていきます。
基本的には、水槽内に水草などがあり、環境が整っていれば特別な餌を与えなくても育つことが多いです。
ただ、水草がない場合は別にエサが必要なこともあります。
稚エビの主な食べ物とは
稚エビは生まれたときから親と同じように、水槽内の微細な有機物やバクテリア、植物性のものを食べています。
とくに以下のようなものを好みます。
- ウィローモスやマツモなどについているコケ
- 他の熱帯魚などの残ったエサ
つまり、水草やスポンジフィルターが入った環境であれば、稚エビはそれらの表面をツマツマしながら必要な栄養を自然に摂取しています。
マツモやアナカリス、ウィローモスなど育てやすい水草を入れてあげるのはそこまで難しくないので、ぜひ試してみてください。
逆に、ベアタンク(水草なし・砂利なし)や極端に清潔すぎる環境では、食べるものが不足しやすくなります。

人工飼料が必要になるケース
基本的にはほぼ人工飼料はいらないですが、次のような場合にはあげたほうがいい場合もあります。
✔ 稚エビの数が多すぎる
自然発生する微生物やコケだけでは足りなくなることがあります。
✔ ベアタンクやシンプルな水槽
底床なし、水草なし、フィルターも最低限の場合、稚エビが餌を得にくくなります。
✔ 成長が遅い/数が減っている
餌不足が原因の可能性があるため、人工飼料を加えることで成長をうながすことができます。
おすすめの人工エサ
稚エビにあげるというよりは、親エビにあげるとよいエサです。
稚エビはその残りなどを食べる程度なので、稚エビ専用のエサは与えなくてもよいでしょう。
基本的にエビ用のフードであればどれでも大丈夫ですが、しいていうならこちらがおすすめです。
水質悪化を防ぐためにも、あくまで「補助的」に与えることが大切です。
餌やりの頻度とコツ
稚エビに餌を与える際の頻度や量にも気をつけましょう。
与えすぎは水を汚し、かえって稚エビの健康を害してしまうことがあります。
✔ 基本は1日~2日1回、ほんの少しでOK
- 指の先に少しつく程度の量
- 粉末であれば水に溶かして数滴に分けて与えるのもおすすめ
✔ 食べ残しは取り除く
- 30分ほど経っても食べていない餌は取り除くようにしましょう。
- 特に小型水槽では、水質悪化に直結しますので、できるだけエサを水槽内に残さないようにしてください。
稚エビがうまく育たない原因(死因)と対策
「稚エビがなかなか育たない」「気がついたらいなくなっている」という場合もあります。
上手育たない、もしくは死んでしまう原因としては次のことが考えられます。
魚や親エビに食べられる

稚エビは生まれたばかりだと1.5〜2mmほどしかなく、他の生体から見れば「動く餌」のように見えてしまいます。
- 小型魚(グッピー・ネオンテトラなど)は食べることがある
- メダカも油断できない(特に口が大きい個体)
- 実は親エビが共食いするケースもある
とくに隠れ家が少ないと、捕食されるリスクが高くなります。
フィルターに吸い込まれる

外掛けフィルターやパワーフィルターなど、吸水口がむき出しのタイプを使っていると、稚エビが吸い込まれてしまうことがあります。
吸い込まれた稚エビは中で死んでしまったり、ろ材の中で見つからなくなったりすることも。
水質の急変・水換えの失敗
- 一度にたくさんの水を換えてしまう
- 温度差のある水を使ってしまう
- カルキ抜きが不十分だった
このような水質の急な変化は稚エビにとって致命的です。
とくに水換え直後に数が減るというケースは非常に多いです。

餌不足による成長不良
自然の微生物だけでは足りず、餌不足で育たないまま死んでしまうこともあります。
とくに水草が少なかったり、ベアタンクで管理していたりすると、稚エビが食べるものが少なくなってしまい、じわじわと体力が落ちていくことに。
捕食されるのを防ぐには?
稚エビが捕食されるのを防ぐためには、次の方法があります。
- 稚エビが1cmになるまでは、魚や親エビと隔離する
- 水草やモスをたっぷり入れて隠れ場所を確保
稚エビは他の魚の口に入ってしまう大きさなので、隠れられるところは必ず作るようにしましょう。
グッピーやメダカなども少し稚エビを食べますが、私が混泳していて一番食べていたのは「チェリーバルブ」と「ブラックテトラ」です。
チェリーバルブはコイの仲間で結構稚エビを食べてしまうので、できれば一緒に飼わないほうがいいでしょう。
フィルターによる事故を防ぐには?
- スポンジフィルターを使用するのが最も安全
- 外部・外掛けフィルターを使うなら、吸水口にストレーナースポンジを装着
- 水流が強すぎる場合は、流量を調節するか、拡散パーツを使う
水質変化のストレスを減らすには?
- 水換えは1週間に1回、1/4〜1/3程度が目安
- 水温はできるだけ合わせてから注水(ヒーター使用時は特に注意)
- カルキ抜きを忘れずに、必ず処理済みの水を使用する
餌不足を防ぐには?
- ウィローモスなどの餌になる水草を増やす
- エビ専用の粉末フードを少量ずつ与える
- 食べ残しは放置せず、こまめに掃除して水質悪化を防ぐ
稚エビの育成は、最初の2〜3週間がとくに大切な時期です。
この間をうまく乗り切ることができれば、その後はグッと生存率が上がります。
まとめ
ここまでをまとめます。
- 水草があれば稚エビのエサはあまり必要ない
- 水草やモスをたっぷり入れて隠れ場を作ることが大切
- 慎重に育てたい場合は隔離するのもよい
- 吸い込まれないようにフィルター選びや、対策が必要
- 混泳相手によっては食べられてしまうこともある
稚エビを見つけたら、まずは安全に過ごせるように隠れ家を作ってあげてください。
マツモやアナカリス、ウィローモスなど育てやすい水草を入れてあげるのはそこまで難しくないので、ぜひ試してみてください。